埋まっている親知らずや、永久歯をそのままにしておくと、
まれにそこから良くないものが発生します。
角化嚢胞性歯原性腫瘍は稀ですが、含歯性嚢胞はよくみられます。
角化嚢胞性歯原性腫瘍は 嚢胞壁内に嬢細胞(じょうさいぼう)や小上皮塊をたくさんもっているので、高頻度に再発します。
また、そこから扁平上皮癌が発生することも稀にあります。
そのため腫瘍を摘出したあと、空洞のできた顎の骨を一層削り落とします。
顎の骨の中を走る神経管に腫瘍が触れている場合は、
骨を一層削ると、神経を切断してしまいます。
そのため腫瘍を摘出した空洞に抗生剤を塗ったガーゼを入れて、
定期的に交換していき、神経管の周りに骨ができるのを待ってから、
もう一度骨を一層削除する手術が必要になります。
角化嚢胞性歯原性腫瘍は入院しての手術が一般的です。
下顎の骨の中には太い神経管が走っています。
脳の方からここに入り込んで骨の中を通ります。
これは知覚神経です。下歯槽神経といいます。
ほっぺたや唇の感覚をつかさどっています。
運動神経ではないので、切断しても顔が動かなくなるといったことにはなりません。
麻痺すると唇、頬、歯茎の、熱い・冷たい・痛い・触られている といった感覚がなくなります。
オレンジがその下歯槽神経です。
CTでみると、腫瘍が下歯槽神経を完全に圧迫変位させています。
さてオペしてみましょう。もちろん日帰り手術です。
一時間半くらいかかりました。
まず歯茎を開けて、骨にぽこぽこ穴を開けて、腫瘍の位置をある程度把握します。
ほっぺた側の骨を大きく開けて腫瘍を摘出します。
下を向いている親知らずの摘出もしておきます。
何とか下歯槽神経を温存するように、慎重に腫瘍と埋伏歯を摘出します。
あとはガーゼを空洞につめてタイオーバーです。
結論。
やっぱり埋まっている歯を放置するのはよくないです。
埋まっている歯(埋伏歯)を持っている方は、一年に一度、歯科医院へ来てください。
大きなレントゲンを撮ってチェックしましょう。
気づいたら外は雪です。
雪景色をみると、幼い頃を思い出します。
母親に「雪が降っている空だけを見ながら走ってごらん、空を飛べるわよ。」そういわれました。
僕は夢中で空を見上げて走り続けました。
何時間も、何時間も。
僕の体は空へと舞いあがり、僕を地上に縛り付ける何物からも解放され、
静寂と孤独と自由を掴み取ったのです。
倒錯した感覚と空を舞う錯覚のなか、冷えた指先は翼となり、
足先の感覚は無くなっていきました。
心配した母親が僕のいる空へと迎えに来ました。
「脚が何も感じないよ」伝えると、
地上に舞い降りた僕を抱え、熱い湯の中に僕の足を浸けたのです。
僕の足の指は凍傷になりかけていました。
そんな時は42度のお湯に凍えた指を長時間浸すのが、まずとるべき治療法だそうです。
ただ、あの痛さは気絶しそうです。
悲しい話ですが、
凍傷になった兵士を救うには、何度のお湯に体を浸ければ一番効果的か、
ナチスの医者がユダヤ人を使って実験した結果、わかったことなのです。
母親は知っていたのかな?
車に気を付けて雪空だけを見ながら走ってみてください。
空を飛べます。
本当です。
でも今はどこに行ってもビルや高層マンションが視界に入ってダメかな?