千の春

 

今日、僕達のほとんどは、昨日の仕事をトレースしている。

日々同じことを繰り返すだけで。

複写式のカーボン紙のようだ。

 

でも、それではだめなんだ。

雫に打たれた軒下の土も形を変えた。

 

 

千春は日々変わってゆく。

僕が嫉妬するぐらい覚えが速い。そして器用だ。

 

彼女がいると僕は安心する。

いつの間にか僕達を支える軸になっていた。

彼女が新しいことを学ぶから、僕も次に進める。

 

ただ千春は僕に冷たい。

「つんでれ」ではない。

クールビューティーだ。

千の春ほど、ここにいてください。

 

 

みんな、僕が朝シャンをした日に限ってバキュームで僕の頭を吸う。

僕は膿でパンパンに腫れた膿瘍を切開するのが大好きだ。

「千春さん膿吸って」ってたのんだわけで。

膿でべったりのバキュームで、朝シャンして乾いてもいない頭を吸われるのです。

勇気を出して「先輩、ひどくないですか?」そう言ったら、

「院長が頭、急に下げるからです」って怒られたわけで・・・。

 

 

 

 

日常の切ないこと悲しいこと(blues)を12小節に乗せて歌う。

今夜は切ないブルースがよく似合う。