あまり知られていませんが、口の中にできる腫瘍・嚢胞、顎を中心とした顔面骨折、癌などの治療も歯科医師の仕事です。
当院の口腔外科では良性腫瘍の切除、嚢胞の摘出、癌の可能性がある組織の細胞検査を行います。
また、顔面を強く打ったときには骨折の検査を行います。これにはCTレントゲンが必要不可欠です。
外傷後、何かおかしいなと感じたときは骨折の検査を受けてください。
大学病院で抜いてくださいと言われた親知らずも当院で抜歯することが可能です。
顎の中を走る神経管や太い血管と親知らずの関係をCTレントゲンで確認しますので、手術前にどのようなリスクがあるか確実に判ります。
前癌病変とは癌になる可能性がある病変のことで、白板症や紅板症などがあります。
前癌状態とは癌になる可能性がとても高い病変です。
梅毒性口内炎や口腔扁平苔癬、Plummer-Vinson症候群、口腔粘膜下線維腫症などが該当します。
●前癌病変の定義
正常組織よりも癌を発生しやすい形態学的に変化した組織。(WHO 1972年)
●前癌状態の定義
癌発生の危険性が有意に増加した一般的状態。(WHO 1972年)
●前癌病変と前癌状態に含まれる疾患
前癌病変
前癌状態
口の粘膜は、皮膚と違って表面に角質層のない柔らかい組織です。粘膜に角質のような物ができると(角化の亢進)白くなって「白板症」と呼ばれます。
また口の粘膜細胞の形状や大きさ、並び方が不規則(異形成)な状態になると粘膜が薄くなり、血管の色が透けて粘膜が赤く見えるので「紅板症」と呼ばれます。
ガンとはそもそも細胞の形状や大きさ、並び方が乱れ、正常な組織構造が崩れた状態をいいます。
そのため白板症や紅板症は癌になる可能性があります。とくに紅板症は要注意です。
口の中に白い変色部分、赤い変色部分、あるいは赤白入り混じった変色部分が現れて、こすってもなかなか消えず、2週間以上も消えずに原因がわからない場合は前癌病変かもしれません。
当院で組織検査(生検)を受けてください。
検査結果によって切除、レーザー治療、経過観察など治療方針が決まります。
前ガン状態や前ガン病変に喫煙や飲酒などの刺激が慢性的に加わると、ガン化しやすくなるため、これらの習慣の中止が必要です。
また定期的な受診(経過観察)が必要です。3ヶ月に一度は受診していただきます。
口腔粘膜の異形成が進むと「上皮内癌」という癌にかかりやすく、速やかな治療が必要となります。この場合には口腔癌のスペシャリストに御紹介させていただきます。
●舌にできた紅板症
紅板症の50%前後が悪性化するといわれています。
外科的に切除するのが望ましいとされています。
悪性化する可能性が高いため、治療後にも経過観察を行う必要があります。
口の中の深いところは、なかなか鏡では見えませんよね。
前癌病変、軽度の前癌状態、初期の口腔癌では自覚症状が無いことがあります。
次の条件に当てはまる方は半年に一度、歯科医院で癌検診をしましょう。
通常のレントゲンでは判りづらい骨折があります。
CTレントゲンでようやく判る骨の亀裂もあります。
顔面外傷後あやしいところがあればCT検査をさせていただきます。
傾斜している親知らずや顎の骨に斜めに埋まっている親知らずは、第二大臼歯の後ろの面を不潔にし、放置すると第二大臼歯の根にむし歯をつくります。そうなると第二大臼歯の抜歯が必要になります。
また、智歯(親知らず)のまわりは不潔になりやすく、しばしば炎症をおこします(智歯周囲炎)。
そのため、このような状態の親知らずは、通常抜歯の対象となります。
埋伏智歯(骨に埋まったまま出てこない親知らず)も歯並びを悪くしたり、噛み合わせの異常をひきおこす可能性があります。
またときとして、顎の骨のなかを通る神経を圧迫し、三叉神経痛(さんさしんけいつう)の原因となることもあります。
さらに埋伏智歯から嚢胞(のうほう)や腫瘍(しゅよう)が発生することもまれにあり、抜歯するのを原則とします。