歯科治療がはじめてのお子様には、歯科医院に慣れるためのトレーニングがまず必要です。
口の中で風や音と共に水を出したり、口の中のつばを吸う練習をします。いきなり・無理やり治療をすると、歯科恐怖症になってしまうことも。何回か通っていただいて、徐々に慣れてもらいます。
3歳を過ぎていればほとんどのお子様は治療を受けられるようになります。どうしても暴れて治療が受けられないお子様や2歳以下のお子様の場合は、応急処置にとどめて、その子の成長を待つケースもあります。ほんの数ヶ月待つだけで歯科治療を受け入れるようになる子もたくさんいます。
すぐに治療に入らなければならない場合、バスタオルで体を包んで治療をすることもあります。その際、ご家族の方に、お子様の体を抑えていただく場合もあります。
乳歯は永久歯に比べ、エナメル質も象牙質も薄く、神経が大きいので、少しの虫歯でも神経にばい菌が入ってしまいます。
そうなったら神経を抜く処置が必要になります。
乳歯の神経を抜く処置はあくまでも応急処置と考えてください。
神経が無くなった乳歯は永久歯と違い、すぐにだめになってしまいます。
歯の根の先に膿がたまる病気になりやすく、永久歯が生えてくるまで何回か治療のしなおしが必要になることがあります。
また、永久歯に生え変わるよりずっと早く抜けてしまったり、抜かざるを得ない場合があります。
そうなると永久歯の歯並びが悪くなってしまうので、部分的に小さな矯正治療をして歯並びが悪くならないように予防する必要があります。
子供の歯は大人の歯に比べて柔らかく、虫歯になりやすいため、予防が大切です。
また、生えたての大人の歯(永久歯)も成人の歯よりも柔らかく、すぐに虫歯になってしまいます。
虫歯予防のために4ヶ月おきにフッ素を塗って歯を強くしましょう。
「フッ素」とは、歯の表面にあるエナメル質を強化する性質を持った物質です。
最近のフッ素剤は味がとてもよくなり、定期的にフッ素を塗布することで、お子様が歯科医院に慣れる効果も期待できます。
虫歯の多いお子様は三ヶ月おきの検診とフッ素塗布が理想的です。
虫歯は、風邪やインフルエンザのように人から人にうつる「感染症」だということをご存知ですか。
生まれたばかりの赤ちゃんには虫歯の原因となる菌がいませんので、虫歯にはなりません。
多くの場合、生後1歳7ヵ月から2歳7ヵ月の間に周囲の大人からのスキンシップを通して移るといわれています。
虫歯の原因となる菌への感染時期を遅らせることで、将来、虫歯の本数が少なくなるという報告データがあります。
また、24歳を過ぎると、新たにできる虫歯の本数は限りなく「0」に近くなるという統計もあります。
つまり、お子さんへの虫歯菌の感染に注意を払い、成人まで健康な歯を維持することができれば、一生、虫歯のない歯でいられる可能性が高くなるのです。
感染症である以上、対策が可能ですので、正しい知識で子供を虫歯から守ってあげることがお子さんの将来を考えた際、非常に大切となります。
「マイナス1歳からの虫歯予防」をご存知でしょうか?
赤ちゃんが生まれた時は0歳です。マイナス1歳とは、お母さんのお腹にいるときの状態で、その時からお子さんへの虫歯感染を予防するための取り組みを行おうというものです。
先ほども述べましたが、虫歯菌は人から人へと感染します。特にお子さんへの虫歯菌の感染は、母親から子供へとスキンシップを通して移るケースが最も多いといえます。そのため、まずはお母さんのお口の中を清潔に保つことが大切となります。
お口の中を清潔に保つためには、食後の歯磨き習慣に加え、歯科医院で行われているPMTCと呼ばれる、“プロによる専用機械を用いた歯のクリーニング”を定期的に受けられることをお勧めします。PMTCを受けられることで、毎日の歯磨きだけでは落とすことができない汚れを除去することが可能です。